ブルース・リーの生と死

マニア以外は見る価値なし。

 

死後、数ヶ月後に香港で公開された映画なわけですが、独自の映像は延々と続く香港とシアトルでの葬儀のシーンと、誰だかよく分からないイップマンの弟子らしき人。しかも、リンダ夫人は葬儀の挨拶をするぐらいでインタビューしていないのに、ナレーションが勝手に彼女の心境を語ったりする、ワイドショーでもやらない陳腐な演出。当時(燃えよドラゴンの公開前)は香港と台湾以外ではまだ無名のアジア人俳優だったにもかかわらず「世界的な大スター」というナレーションは明らかに嘘で、香港のファンが喜ぶような大袈裟な表現をしたことが見え見え。

あとは写真を切り貼りしたり、偉大な武道家、中国人の愛国心を刺激したりのしょうもない演出が続き、その間に過去の作品のアクションシーン(当時はビデオがないので、それだけでも観客は喜んだだろう)と、死亡遊戯の未完成映像、近日公開の燃えよドラゴンの撮影風景を挟むという、これまた高校生の自主映画でもやらない手法。

これはゴールデンハーベストの宣伝とブルース・リーの「伝説化」を目論んだ映画ではないかと思う。香港では所属俳優を葬儀に大量に並べ、シアトルの葬儀ではスティーブ・マックィーンジェームズ・コバーンを呼んでリーの「大物ぶり」を演出したと考えるとしっくりくる。