『ロボコップ』(原題: RoboCop)2014年版

 
面白くないわけではないが面白いわけでもない。はっきり言うと、このリメイクは存在してもしなくてもいい。作品としても商業的にもあまり意味がないと思う映画である。

とにかくサミュエル・L・ジャクソンがうるさい。何でこんなにしょっちゅう出てくるのか。メジャー俳優だからだろう。それだけの理由だ。特に意味がある役柄ではない。ロボット警官を認めるか否かの経営者と政治家の議論、法律廃止の経過を、いかにもテレビ番組にありがちな演技で伝えているだけ。そもそもこんな役柄は必要なのか。オリジナルの普通のキャスターがたまに感情が出るぐらいがちょうどいい。ジャクソンが延々と大袈裟な演技で解説する必然性がまるでない。

また、家族とのドラマパートが長すぎる。好みの問題かも知れないが、ストーリー的には無駄な印象である。特に、プログラムを無視して自分の事件を捜査するのは、初期の「バトルモードでは自己意識が働かなくなる」などと相容れない。アドレナリンが上がるから鎮静剤を打つのでは、完全に人間である。マーフィーの暴走については説明がなされていない。アクションシーンはCGで工夫がなく、ゲームの操作シーンを見ているようだ。そして、伏線の撒き方も回収も悪いので、物語が行き当たりばったりである。ゲーリー・オールドマン演じる博士を急に善人にしてしまうのも、納得感も爽快感もうすい。

結局、CGが新しくなった以上の仕事をしていない。「名前の売れている俳優を何人も揃えてCGを駆使したロボコップのリメイク」という安易なマーケティングの失敗例だろう。